公的年金所得者に係る確定申告不要制度の創設
改正のポイント
- 平成23年度以降の所得税について、公的年金の収入がある方のうち、一定の条件に該当する人は、確定申告書を提出する必要がなくなりました。
- 提出する必要がないだけであって、還付を受ける等のために申告書を提出することはできます。
- 住民税については申告が必要な場合があります。
申告不要の条件
- その年の公的年金等の収入金額が400万円以下であること
- 2ヶ所以上から支給を受けている場合は合計額になります。
- 収入金額で判断します。源泉徴収されている場合は、振り込まれた手取り金額とは異なりますので注意が必要です。なお、年間の収入金額は「公的年金の源泉徴収票」などで確認することができます。
- その年の「公的年金等に係る雑所得」以外の所得金額が20万円以下であること
- 上記の公的年金以外の「所得」の合計額が20万円以下であればよいということです。
- 所得で判断しますので、所得の種類ごとに計算方法が異なります。下記にその一例を示します。これ以外のものに関してはお問い合わせいただければお答えいたします。
所得の種類 | 所得の内容 | 所得金額の計算方法 |
給与所得 | 給与・賞与、パート収入など |
給与等の収入金額-給与所得控除 を超える場合には、所得金額は20万円を超えることになります。 |
雑所得 (公的年金以外) |
個人年金、原稿料など | 総収入金額-必要経費 |
配当所得(※) |
株式や出資の配当など | 収入金額-株式などの元本取得に要した負債の利子 |
一時所得 |
生命保険の満期返戻金など | { 総収入金額-収入を得るために直接要した金額-特別控除額(最高50万円)}×1/2 |
(※) 上場株式等に係る配当所得の申告不要制度を選択した場合は除きます。
住民税の申告が必要になる場合
- 上記、所得税の申告書を提出不要となっているケースでも、公的年金等に係る雑所得以外の所得がある場合は原則として住民税額が増えますので申告が必要になります。
(※)なお、給与所得以外の所得が20万円以下の、いわゆるサラリーマンでお小遣いのサイドビジネスをされているような方も所得税の確定申告の必要はありませんが、前述同様、住民税は申告の義務がありますのでご注意ください。
申告不要であっても申告をしたほうがいい場合
- 年金等から源泉徴収をされている場合で、各種税額控除を受けるようなケースには申告をすれば還付を受けれる場合があります。具体的には以下のようなものが挙げられます。(なお源泉徴収されていない場合は還付を受けれませんので、源泉徴収額があるかどうかを先ず確認してください)
- 医療費控除を受けることができる場合
- 公的年金から天引きされた社会保険料の以外の社会保険料支払いがある場合(生計を一にする親族の社会保険料を支払っている場合など)
- 生命保険料控除、地震保険料控除の控除を受ける場合
- 災害・盗難等にあい、雑損控除ができる場合 など
- 上記「住民税の申告が必要になる場合」のケースでも、所得税の確定申告書と提出してしまえば、住民税の申告書は提出する必要がありません。金融機関等に所得税の確定申告書を提出しなければならない可能性があるような場合は、手間を考えて、提出不要であっても所得税の確定申告書を提出してしまうという選択もありえます。